【人体の『雑学』④】体から出る分泌液(体液)の生産量と役割

【人体の『雑学』】
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体液の仕組み〔唾液、鼻水、涙〕

唾液の生産量と役割


唾液口腔内(口の中)で生産される液体で日常的な生理現象です。

唾液の量

一般的な成人の唾液量は1日に約1〜1.5リットルと言われます。そして、体質や状況によって唾液の分泌が増減することがあります。

子供の唾液腺は大人よりも活発で口腔内の唾液の分泌量が多い傾向にあります。

唾液の役割

唾液は消化酵素である、アミラーゼ〔主に炭水化物の消化を助ける役割〕やリパーゼ〔主に脂肪の分解を助ける〕を含んでおり、食事を咀嚼することで刺激を受け、消化を助けるために分泌されます。

また、唾液には水分免疫グロブリンIgA〔口腔内の粘膜免疫を支え、口腔内の細菌やウイルスなどの病原体から身体を保護〕などが含まれており、口腔内の湿潤を保ち、細菌の増殖を抑制する役割があります。

さらに、唾液には歯のエナメル質を保護するためのミネラル〔カルシウムやリンなど〕、口臭の原因となる細菌の増殖を抑える働き(塩化亜鉛など)、傷の治癒を促進する成分(EGF)も含まれており、口腔内の粘膜や歯ぐきの健康を保つのに役立っています。



涙の生産量と役割


涙は目から排出される体液となりますが、様々な役割があります。

涙の生産量

涙の生産量は体質や状況によって異なりますが、一般的には1日に約500ミリリットル(0.5リットル)程度といわれます。

涙の役割


涙は目の表面を保護潤滑させる役割があります。眼球表面は乾燥や外部刺激にさらされやすいため、常に涙が目にあることで目を清潔に保ち、摩擦や乾燥から守ります

涙は涙腺(るいせん)から分泌されるのですが、抗菌物質免疫グロブリンIgAなどの成分が含まれており、目の感染症や炎症を防ぐ免疫機能を持っています。それにより、目に異物や細菌が侵入した場合には、これらの成分が侵入物を排除し感染を防ぎます。

そして涙が眼球表面に形成する涙膜(るいまく)は、光を正しく屈折させる役割を果たしており、視覚のクリアさや質を向上させる効果があります。

その他、涙には感情の表現ストレスの軽減にも役割があるといわれています。感情的になるような喜び、悲しみ、怒りなどにより涙が分泌されることで、感情の表現や人とのコミュニケーションを促進したり、涙が流れることでストレスホルモンの分泌が抑制され、心身のリフレッシュやリラックスが促進されるといわれています。

このように、涙は目の保護だけでなく心身のバランスや健康維持にも重要な役割を果たしています。



鼻水の生産量と役割


鼻水は、鼻腔(びくう、びこう)から分泌される粘液状の液体です。

鼻水の生産量

鼻水の生産量は体質や状況によって異なりますが、通常は1日に1~2リットルぐらいといわれます。

鼻水の役割

鼻水は鼻腔の表面の潤いを保ち、鼻腔内の乾燥を防ぎます。それにより、鼻腔の粘膜が健康で保たれ、血管や粘膜の損傷を防ぐことができます。また、潤滑された鼻腔は、空気の通り道として機能し、呼吸をスムーズに行うことができます。

鼻水には粘着性があり、微小な粒子や異物が鼻腔に侵入した際にこれらを捕捉し排除する役割があります。粘着性を持つことで粒子や微生物が鼻腔内に付着しやすくなり、呼吸器系への侵入を防ぐことができています。

更に、鼻水には免疫細胞や免疫関連タンパク質などの免疫成分が含まれており、微生物やウイルスなどの病原体から身体を守る役割をしてくれます。これらの免疫成分は、異物や病原体を排除することで呼吸器系の感染症や炎症を予防しています。

その他、鼻水には老廃物や粘液中の不要な成分などを排泄する役割もあり、鼻水が流れることで鼻腔内の異物や不要な物質が排出され、清潔な状態を保つことができます。

鼻腔内の状態や外部環境などによっても異なりますが、鼻水は呼吸器系の健康を維持するためにとても重要な役割があります。