【ゾッとする化学の『雑学』① 】超強酸、毒殺亜ヒ酸、神経毒と美容

【 ゾッとする『化学』の雑学 】
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化学の雑学 超強酸、猛毒、爆薬

なんでも溶かす…⁉世界一強力な酸『フルオロアンチモン酸』


フルオロアンチモン酸(HSbF6)は、非常に強力な超強酸の一つです。フルオロアンチモン酸は他の強酸よりも遥かに強力であり、強い酸で知られる硫酸の1京倍(10,000,000,000,000,000倍)、もしくはそれ以上の強さとも言われています。

この超酸は通常、特別な条件下で、有機合成〔新薬や素材、香り、味などを生み出す手法〕や触媒反応〔反応を助ける物質〕として使用される場合があるようです。

ただし、取り扱いには非常に慎重でなければならなく、その強力な性質から保存するにもその容器自体を溶かしてしまうため、酸化〔物質が酸素と反応して化合物を形成すること〕ができない安定したフッ素樹脂(テフロン)などの素材で保管されるそうです。



毒殺につかわれたヒ素のなかでも特に危険『白色粉末の亜ヒ酸』


ヒ素(Arsenic)は無色無臭の有毒物質で自然界に広く存在し、鉱石や土壌、鉱泉水などに微量ずつ含まれています。その中でもヒ素の化合物である白色粉末亜ヒ酸』は特に危険です。

この粉末は無味で、水や食べ物に混ぜてしまうと検出が難しく、口にして症状が現れるときには既に手遅れとなります。歴史的には毒殺の手段として使われ、中世から19世紀にかけて数多くの毒殺事件に使用されたと言われます。ヒ素中毒の症状は激しく、嘔吐下痢中枢神経障害〔脳や脊髄における損傷や機能異常による神経系の問題〕を引き起こし、最終的には死に至ります

しかし、現在ではマーシュの試験法〔ジェームズ・マーシュによって開発されたヒ素の検出法〕により微量のヒ素検出が可能となっているため、そのような暗殺はなくなったとは言われています…



第二次世界大戦でも使用『白リン』と白リン弾

※写真はイメージです

白リン(はくりん)〔常温では白く透明な結晶で軟らかい固体。酸素などの反応により燃焼する〕は、その性質から恐ろしい武器としても使われてきました。日本でも第一次大戦後に研究が行われ、白リンを戦術的に使用していました。第二次世界大戦中も『白リン弾(はくりんだん)』として、特に夜間の戦闘において目標を照らすために広く使用されました。

白リンは酸素と反応して燃え、強力な白煙を発生させるのですが、その燃焼温度が極めて高く、肉体に触れると激しい火傷を引き起こし、水では消えない性質を持っています。更に、白リン弾が投下された地域では、地表や土壌に残留する白リンが環境への悪影響をもたらします。

そのため、白リン弾は非常に残忍な兵器として制限や禁止の取り組みが行われていますが、非道にも現在でもまだ戦争に使われているといわれます。



『ボツリヌストキシン』と美容


ボツリヌストキシンは、最も強力な神経毒〔神経細胞に作用する毒〕の一つで、微量でも致死的な効果を持っています。この毒素はボツリヌス菌によって生成され、筋肉の収縮を停止させます。

しかし驚くべきことに、実は美容としてもボツリヌストキシンは使われています。シワの改善として使用されており、顔などの特定の筋肉に注射され、筋肉の収縮を抑制することでシワの形成を防ぎ、滑らかな肌を取り戻す効果があります。

適切な医療などにおいての使用は安全とのことですが、誤った使用や過剰な投与は重篤な副作用を引き起こす可能性があるため注意が必要です。




『ニトログリセリン』とダイナマイト


ニトログリセリンは、強力な爆薬として知られていますが、1847年にイタリアの化学者アスカニオ・ソビエロによって初めて合成されました。その後、アルフレッド・ノーベル〔ノーベル賞の創設者〕が安定した形で製造する方法を開発し、爆薬(ダイナマイト)として広く使われました。

ニトログリセリンは爆発物として多く知られていますが、一方で、医療分野では心臓の狭心症〔冠動脈(心臓に酸素や栄養分を供給する血管)が狭くなり、心臓に必要な酸素が不足する状態〕などの治療にも使用され、血管を拡張し血流を増加させ、心臓への酸素供給を増やす作用があります。

ニトログリセリンは爆発物から医薬品まで異なる側面をもっており広範な用途で使用されています。