人間の体は「37兆個の細胞」でできている!
私たちの体のなかでは、毎日どれぐらいの細胞分裂が行われているかご存じですか?
実はその数、なんと1日に約1兆回にも達します。
この膨大な細胞分裂が日々繰り返されることで、私たちの体は維持され、成長し、健康を保っているのです。
この記事では、そのメカニズムや役割、そして私たちの体が持つ驚異的な再生能力についてわかりやすく解説します!
細胞分裂とは何か?
まずは細胞分裂の説明になりますが、細胞分裂とは、1つの細胞が2つに分裂して新しい細胞を生み出すプロセスのことを言います。
この現象は、生きているすべての多細胞生物〔複数の細胞から構成される生物〕で見られる基本的な生命活動のひとつとなるのですが、その細胞分裂によって、古い細胞や傷ついた細胞が新しい細胞に置き換わり、私たちの体は常にリフレッシュされています。
そして、この細胞分裂には大きく2つの目的があります。
- 成長
細胞が分裂することで体が大きく成長します。子どもの成長期には特に活発に行われています。 - 修復と置き換え
古くなったり損傷を受けた細胞が新しい細胞に置き換わり、体の機能が正常に保たれます。例えば、ケガをしたときに傷が治るのは細胞分裂のおかげです。
1日に約1兆回の細胞分裂を1秒間で換算すると…
「1日=1兆回」と聞くと、あまりに大きすぎてイメージしにくいかもしれませんが…
1秒間に換算すると、なんと約1150万回の細胞分裂が起きている計算になります。
ほんの一瞬の間にも、私たちの体内では膨大な数の細胞が新しく生まれ、古い細胞と入れ替わっているのです!
誰でも1日に数千個、ガン化する細胞が生まれてる…⁉
正確な数字は一概に言えないのですが、ある研究によると、私たちの体内では1日に約1,000~10,000個の細胞ががん細胞に変異する可能性があると言われています。これは、細胞分裂中に遺伝子に何らかの変化(突然変異)が起こることが原因です。
しかし、ほとんどの場合、これらの変異が即座にがんを引き起こすわけではありません。体には、これらの異常を修正するための多くの防御機構〔例えば、DNA修復機能や免疫システム〕が備わっています。
細胞がガン化するためには、これらの防御機構を突破し、異常な細胞が増殖を始める必要があります。
このように、日々ガン化の可能性がある細胞が生まれていますが、通常は体の自己修復機能によってがんが発症する前に取り除かれているのです。
それでも、加齢や環境的要因〔例えば、喫煙や紫外線など〕が積み重なることで、がんが発症するリスクが高くなると言われています。
細胞分裂が特に活発な部位
体内の細胞はすべて同じペースで分裂しているわけではありません。一部の細胞は頻繁に分裂する一方で、ほとんど分裂しない細胞も存在します。
それぞれの役割や特性によって分裂の頻度が異なるのです。
頻繁に分裂する細胞
- 腸の内壁
消化の過程で細胞がすり減りやすいため、数日ごとに新しい細胞が生まれます。 - 肌(表皮)
約28日ごとに新しい細胞が生成され、古い細胞が剥がれ落ちます。この再生サイクルが肌の健康を保っています。 - 血液
赤血球は約120日で寿命を迎えますが、骨髄では毎秒約200万個の赤血球が新たに作られています。白血球も同様に常に補充され免疫を維持しています。
分裂しにくい細胞
- 脳の神経細胞
一度損傷すると基本的に再生できません。そのため、脳の健康を守ることはとても重要です。 - 目の水晶体
この部分の細胞は分裂しません。傷つくと再生が難しく、視力に長期的な影響を及ぼす可能性があります。
細胞分裂の精密なメカニズム
細胞分裂で最も重要な役割を担うのが、DNAの複製です。
DNAは体の「設計図」にあたる遺伝子情報を含んでおり、この情報が正確にコピーされることで新しい細胞が作られます。
しかし、この過程にはリスクも伴います。DNAの複製中にエラーが発生すると、細胞の機能が損なわれたり、病気の原因になることがあるのです。
私たちの体にはこうしたエラーを修正する仕組みが備わっており、この修復機能が正常に働くことで、細胞分裂は安全かつスムーズに進行し、体の健康が維持されています。
最後に
こうした細胞分裂の仕組みを知ると、私たちの体がどれほど精巧にできているかがわかります。
健康診断で「異常なし」と言われたときや、ちょっとした切り傷がすぐに治ったとき、体内で行われているこの1兆回の細胞分裂の働きに思いを馳せてみてください。
細胞分裂は、私たちの何気ない日常を支える「生命の神秘」とも言える現象です。
私たちの体がこれほどまでに精密に機能しているのは、細胞の絶え間ない努力のおかげ。健康な生活習慣を心がけることで、この細胞たちの働きをさらに支えてより良い人生を送っていきたいものですね!