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【海の雑学③】 化学反応で発光する生物 / 海を赤くする生物(赤潮)

【『海』の雑学 】

海に起こる不思議な現象

バイオルミネセンス(生物発光)



海では、稀に幻想的な光に包まれる光景が広がることがあります。

微生物などが発光することによって見ることができる現象なのですが、このことをバイオルミネセンス(生物発光)と呼んでいます。



このバイオルミネセンスの発光するメカニズムになりますが、特定の酵素のルシフェラーゼとその基質〔化学反応において反応を受ける物質〕であるルシフェリンが、化学反応を起こすことでエネルギーを放出し、光が発生する仕組みとなっています。



バイオルミネセンスは、様々な生物で見られるのですが、一部の深海魚プランクトンクラゲ昆虫キノコ菌類細菌なども生物発光を起こすことがあります。

(シイノトモシビタケ)



なぜ、そのような光を放つ必要があるのかは個々によって違いますが、例えば、深海生物はバイオルミネセンスを利用してエサを引き寄せたり、仲間同士のコミュニケーションを行ったりすることが知られています。



また、一部の昆虫などはバイオルミネセンスを使って捕食者から身を守ることなどもあります。



実は、バイオルミネセンスは医学分野などでも広く応用されており、がん組織の生体イメージング(画像化、視覚化)や遺伝子発現解析〔生物の細胞がどのような遺伝子を活性化しているかを調べる技術〕、薬物検出神経科学研究などにも役立っています。

特に、生体内ではリアルタイムな観察や分析が可能なため、疾患の診断や治療効果の評価に重要な技術となっています。



赤潮(あかしお)



赤潮(あかしお)は、海洋や淡水域を赤色や茶色に染める現象なのですが、赤色の色素を含むプランクトン〔主に浮遊性(水中で浮かぶ性質)の微生物や小さな生物の総称〕が大量発生することによって起こります。

プランクトンが大量発生する原因


主な原因は、海水中の栄養塩〔生物が成長や生存に必要な栄養素である塩類。窒素やリンなど〕の過剰供給などによりプランクトンが急激に増殖します。


自然現象としては日光の量の増加による海水温度や塩分の変化などによる増殖、海流や風によってプランクトンが特定の地域に集まり、海洋中の栄養塩が運ばれることによって増殖が促進されることもあるようです。


特に静水域や湾などでは、これらの影響が顕著に現れることがあります。



その他、人為的なことによっても増殖すると言われます。



例えば、農業や工業活動からの排水、河川からの流入、肥料の使用などによって海水中の栄養塩が増加し、プランクトンの増殖を引き起こすこともあるようです。


赤潮による影響


赤潮は海洋生態系人間の生活にも大きな影響を与えます。

赤潮が発生すると、プランクトンの急激な増殖によって海の中の酸素が消費され、海水中の酸素濃度が低下します。それにより、魚やプランクトンなどの海洋生物が酸欠状態になり大量死することがあります。その結果、海洋生態系のバランスが崩れ、生態系全体に影響を及ぼします。

その他、赤潮によって海水が濁り悪臭が発生すれば観光業にも影響が出ますし、周辺の水質が悪化して海岸などに漂着した、死んだ生物や有害なプランクトン〔赤潮には有害、有毒プランクトンもいる〕が増えた場合、人間が食べる魚介類などにも影響が及ぶこともあります。



そうなれば水産業にも悪い影響を及ぼす可能性も出てきます。


代表的な赤潮のプランクトン『夜光虫(ヤコウチュウ)』


赤潮になるプランクトンの種類は数十種類あると言われているのですが、その中でも        ヤコウチュウ夜光虫)(Noctiluca scintillans)は特によく知られるプランクトンになります。


このヤコウチュウは昼間は赤潮として海を赤く染めますが、光を放出する性質(生物発光)があるため、夜では姿を変えて海面が青く発光する場合もあります。


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