株式市場の急落時

株価が大きく下がったとき、あなたはどうしていますか?
慌てて売ってしまったり、指をくわえて見ているだけだったり…そんな経験、誰しも一度はあるはずです。
では、プロの投資家は“株式市場の急落時”にどう動いているのか?
その行動パターンを知れば、あなたの資産運用にも「一段上の視点」が加わります。
今回は、急落相場でプロ投資家が実際に何を考え、どう行動しているのかを深掘りして解説します。
1. 「売られすぎ」を冷静に観察している
多くの個人投資家が感情的に売る中で、プロは売られすぎの水準”を冷静にチェックしています。
例えば、以下のような方法があります。
- RSI(相対力指数)やMACDなどのテクニカル指標で極端な下落を測定
- 直近のニュースが「一時的要因」か「構造的リスク」かを精査
- バリュエーション(PER、PBR)との乖離を確認
テクニカル指標、「一時的要因」「構造的リスク」、バリュエーションの説目はこちら↓
<教訓>
急落の時ほど、数字と事実だけを見る。感情を捨て、価値を拾う準備をする。
2. “買いたい銘柄リスト”を事前に準備している
例えば、株式投資などの際には、プロ投資家の多くは急落時に初めて銘柄を探すのではなく、“今は高くて手が出せないが、下がれば買いたい銘柄リスト”を常に持っています。
- 好業績・高配当・低負債などの健全銘柄をあらかじめ監視
- 「この価格まで下がったら買い」のトリガー価格を設定
- 指値注文を事前に入れておくことも多い
トリガー価格、指値注文とは?↓
<教訓>
勝負は、暴落が起きる“前”に始まっている。準備がすべて。
3. 一気に買わない。段階的に資金投入
急落時、「ここが底だ!」と信じて一括買いするのは危険。
プロはむしろ、数回に分けて買い下がる(ナンピンの計画的バージョン)スタイルを取ります。
- たとえば3段階に分けて資金投入
- 反発し始めたときに追加買いする「逆張り+順張りの合わせ技」も
逆張り+順張りの合わせ技とは?
【逆張り(ぎゃくばり)】
- 市場の流れと反対方向にポジションを取ること
- 株価が下落している時に「安くなったから買う」
- つまり「みんなが売っているときに買う」戦略
例:急落相場でみんながパニック売り →「チャンスだ」と買う
【順張り(じゅんばり)】
- 市場の流れに沿ってポジションを取ること
- 株価が上がっている時に「上昇トレンドに乗る」ために買う
- つまり「上がってるからさらに上がる可能性に賭ける」戦略
例:株価が5日移動平均線を上抜けて上昇中 → トレンドに乗って買う
合わせ技の実践的な流れ(逆張り+順張り)
それでは、正しい定義をもとにして、「逆張り+順張り」の組み合わせをもう一度、わかりやすく紹介します。
📉 Step1:逆張りで“最初の仕込み”
相場が大きく下落中で、過剰に売られていると判断したら、
「今は怖いけど、割安になってきた」と考えて、まずは少額で逆張りエントリー。
例:好業績だけど地合いの悪さで下がった銘柄を、移動平均線より大きく下に乖離したタイミングで少し買う。
📈 Step2:順張りで“自信を持って追加”
その後、株価が反発し始め、上昇トレンドに転じた兆しが見えたら、
「トレンドが出た!」と判断して、順張りで追加投資。
例:25日移動平均線を株価が上抜け、出来高も増加 → トレンド発生と判断して買い増し。
<教訓>
落ちてくるナイフは、素手ではなく手袋(分散)でつかむ。
4. ポートフォリオのバランスを調整
急落によって、株式比率が上がりすぎたり、セクター偏重になったりすることがあります。
プロはそこでリバランスを行い、資産配分をリスク許容度に合わせて再調整します。
- 債券や現金比率の確認
- 防御的セクター(生活必需品、医薬品など)へのシフト
- 通貨・地域の分散も検討
債券、防御的セクター、通貨・地域の分散の説明はこちら↓
<教訓>
急落時こそ、自分の“資産全体”を見直すチャンス。
5. 資金管理を徹底している
急落が続くと、「もっと買いたいのに現金がない!」という個人投資家も多くいます。
しかし、プロは常にキャッシュポジション(現金)を一定比率で保持しており、ここぞという場面で動けるのです。
<教訓>
資金を使い切るな。チャンスはいつも“手元の現金”が連れてくる。
6. SNSやメディアから距離を取る
急落時、ネットやメディアは不安をあおる情報で溢れます。
プロは、こうした“雑音”に引っ張られず、自分の分析と判断軸を信じます。
- デマや感情的投稿を遮断
- あくまで数字と事実を軸に判断
- 情報源の質と信頼度を精査
<教訓>
ノイズは排除して、本質を見抜け。
7. 空売りやヘッジでリスクを管理
相場の下落局面では、何もしないだけでなく、「空売り」や「プットオプション」などの手法を使って利益を出すことも可能です。
こうした“下げ相場で稼ぐ”戦略は、プロ投資家にとってはリスクヘッジの常套手段。
保有資産の損失を抑えたり、逆に利益を得たりもしています。
⚠️ 初心者は慎重に!
ただし、空売りやオプション取引にはリスクや仕組みの理解が不可欠。経験が浅い方は、まずは勉強してから取り組むのが安全です。無理に手を出すより、“こういう手段もある”と知っておくことが第一歩です。
空売りとは?
株価が「下がる」と予想したときに使う投資手法です。
ざっくり言うと、持っていない株を“借りて売り”、あとで安くなったら“買い戻す”ことで差額の利益を得る方法。
たとえば:
- 株価が1,000円のときに、株を借りて売る
- 株価が800円に下がったときに買い戻す
➡ 差額の200円が利益!
⚠ 注意点:株価が上がると損失が出ます。損失の上限がないため、リスク管理がとても重要。
プットオプションとは?
株などの「売る権利」を売買する金融商品です。
主に、株価が下がると利益が出るしくみです。
ざっくり言うと、「この価格で売れる権利」を事前に買っておき、実際に株価が下がったときにその権利を使えば利益になります。
たとえば:
- 株価が1,000円のときに「900円で売れる権利」を買う
- 実際の株価が800円まで下がったら、その権利を使えばおトクに売れる
➡ その差で利益に!
⚠ 注意点:オプション取引はやや複雑で、仕組みの理解が必要。
練習や勉強をしてからの活用がおすすめです。
<教訓>
株は上がる時だけがチャンスじゃない。下げ相場でも稼げる選択肢を。
8. 感情を数値で管理している
- 「5%以上下がったら必ずチェック」など、数値ベースのルールを持っている
- 損切りや利確のラインも、事前設定で機械的に判断
- メンタルに左右されにくい“ルーティン”を確立
<教訓>
プロは感情を使わずに動いている。
9. “あえて動かない”という選択もする
マーケットが荒れているときほど、何かしたくなってしまうものですが、プロは“あえて待つ”ことも戦略の一つと考えています。
- 相場の方向性が見えるまで静観
- 「次のチャンスまで休む」判断も立派な決断
<教訓>
動かないこともまた、動くことに等しい戦略である。
10. 市場の“心理”を読んでいる
プロはチャートや数値だけでなく、市場全体の“恐怖指数”や群集心理の動きを見ています。
- VIX指数などで不安水準を測定
- パニック売りのタイミング = 逆に買い場になる可能性を計算
- 他の投資家がどう動くかを“逆手”に取る視点を持つ
<教訓>
群衆が叫んでいる時ほど、チャンスは静かにやってくる。
まとめ:プロの思考は“計画的”
急落相場で動ける人と、動けない人の差は、「胆力」ではなく「準備」と「仕組み」にあります。
プロ投資家は、事前の設計とルール化された判断軸によって感情を抑えつつ、最善の手を選びます。
急落時に慌てることが多い方は、ぜひこの記事を参考に、自分だけの“暴落マニュアル”を持っておきましょう。
