〜地球の4分の1を支配した超巨大帝国の正体〜

世界最大の帝国、それが「イギリス帝国」
「太陽の沈まぬ国」──かつて、そう呼ばれた国がありました。
それがイギリス帝国(British Empire)です。
では、実際にどれほどの規模だったのか…
それは人類史上最大の植民地帝国とされ、驚くべき数字が並びます。
イギリス帝国のピーク時の領土とは?

イギリス帝国の最盛期は1920年代前半。第一次世界大戦後、多くの旧ドイツ領・オスマン帝国領を委任統治領として獲得したことで、帝国の領域はかつてない広がりを見せました。
- 領土面積: 約3,500万平方キロメートル(地球の陸地の約24%)
- 人口: 約4億5千万人(当時の世界人口の約25%)
- 領有国数: 現在の50か国以上
(例:インド、カナダ、オーストラリア、エジプト、南アフリカなど)
これほどの規模を持った国家は、人類史上他にありません。
「地球上どこかで常にイギリスの旗が翻っている」と言われたのも、決して誇張ではなかったのです。
主な地域:どこまで広がっていたのか?

1. アジア

- インド帝国(現在のインド・パキスタン・バングラデシュ)
- ビルマ(現ミャンマー)、マレー半島、香港
2. アフリカ

- エジプト、ナイジェリア、ケニア、南アフリカ共和国など多数
3. オセアニア


- オーストラリア全土、ニュージーランド、パプアニューギニア
4. 北アメリカ

- カナダ、バミューダ諸島
5. カリブ海

- ジャマイカ、バルバドス、バハマなど
6. 南アメリカや中東、太平洋諸島にも飛び地が点在

つまり、6大陸すべてに領土を持つという驚異的な広がりを実現していたのです。
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なぜ、ここまで拡大できたのか?

拡大の理由には以下のような要因があります。
- 産業革命による軍事力・経済力の増大
- 海軍力の強化〔海洋国家としての優位性〕
- 植民地の資源獲得・貿易ネットワーク構築
- 現地政権への間接統治・経済的支配
特にイギリス東インド会社のような民間企業が果たした役割も大きく、国と企業が一体化して拡大を続けました。
イギリス東インド会社とは?
1600年に設立されたイギリスの貿易会社で、インドや東南アジアとの香辛料・綿布貿易から始まり、やがてインド支配の拠点となり、19世紀にイギリス政府に統治権を移すまで植民地支配を担った組織です。
そんなイギリス帝国が崩壊した理由

第二次世界大戦後に植民地の独立運動が活発化、そしてイギリス本国の経済力も低下していたため、次第に帝国は解体へと向かいました。
- 1947年:
インド・パキスタンの独立 - 1956年:
スエズ危機で国際的影響力を喪失
スエズ危機(第二次中東戦争、1956年)とは、エジプトがスエズ運河を国有化したことをきっかけに起きた国際紛争です。英仏イスラエルの軍事介入が米ソの圧力で失敗し「欧州の時代から米ソの時代へ」、中東の主役交代を示した事件とも言えます。 - 1980年代以降:
ほとんどの植民地が独立
現在でも、英連邦という形でゆるやかな繋がりは残っていますが、往年の「帝国」としての姿は過去のものとなりました。
最後に:イギリス帝国の痕跡

過去のイギリス帝国の影響は、今なお世界中に痕跡を残しています。
- 英語が世界共通語として使われている
- イギリス式の法制度が多数の国に継承している
- 鉄道網・教育制度などの社会インフラに影響している
などなど、地理的な「大きさ」を超えて、文化・経済・政治への影響力もまた、「帝国の遺産」と言えるでしょう。
グローバル化が進む現代において、歴史の背景を知ることは、今を理解する近道なのかもしれません。
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