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【ゾッとする人体の雑学②】『ロボトミー手術』感情や行動をコントロール

【 ゾッとする『人体』の雑学 】
LOBOTOMI

前頭葉白質切截術

ロボトミー手術〔前頭葉白質切截術(ぜんとうようはくしつせっせつじゅつ)〕とは、かつて精神病の治療法として広く行われた脳の手術です。しかし、現在では物議を醸す過去の医療行為となっています。


今回は、この手術がどのように行われ、なぜ問題視されるようになったのかをわかりやすく解説します。

ロボトミー手術とは?


ロボトミー(Lobotomy)は、脳の一部を切断または破壊することで、精神的な障害を治療しようとする手術です。


主に前頭葉(ぜんとうよう)に焦点を当て、患者の感情や行動をコントロールしようとしました。

前頭葉(ぜんとうよう)の働き


前頭葉は脳の前方に位置し、思考判断計画感情の制御社会的行動などを司る重要な部分です。

意思決定や問題解決、創造力、注意力の維持に関わり、自己をコントロールする役割も持っています。また、運動機能を指令する運動野(運動皮質)も前頭葉にあります。



この手術が最初に行われたのは1930年代で、ポルトガルの神経科医アントニオ・エガス・モニスが考案しました。

〔アントニオ・エガス・モニス〕


彼はこの手術によって、重度の精神病患者の症状が改善されると考え、1949年にはノーベル生理学・医学賞を受賞しています。

ロボトミー手術をもう少し詳しく


ロボトミー手術は、精神疾患の治療として行われた脳手術です。1930年代から1950年代にかけて、日本を含み重度のうつ病や統合失調症などの治療法として使用され、手術では前頭葉と他の脳の部分をつなぐ神経を切断し、患者の感情や行動をコントロールしようとしました。

ロボトミーは一時的に症状を緩和することがありましたが、副作用として、感情が鈍くなったり、人格が変わったり、重度の障害を引き起こすことが多かったため、次第に多くの批判を浴びました。


結果的には、精神薬の進歩に伴い、ロボトミーは1960年代以降ほとんど行われなくなります。

ロボトミー手術の方法


初期のロボトミーは、頭蓋骨を切開して〔開頭によるロボトミー〕直接脳に手を加えるものでした。


しかし、1940年代になると、アメリカの精神科医ウォルター・フリーマンが「トランスオービタル・ロボトミー(Trans Orbital Lobotomy)」を考案します。

〔ウォルター・フリーマン〕


それは、目のくぼみから細い金属の器具(通称アイスピック)を挿入し、前頭葉と他の脳部位を物理的に切り離すという、はるかに簡易で迅速な手術方法でした。


この手術は麻酔なしで行われることも多く、約10分程度で完了したといわれます。


ロボトミー手術の成功と悲劇


ロボトミー手術は、当初は奇跡的な治療法として称賛されていました。


重度のうつ病や統合失調症に苦しむ患者が手術後に落ち着きを取り戻すことがあり、この手術は1940年代から1950年代にかけて急速に広まり、アメリカでは約4万~5万件もの手術が行われたと言われています。



しかし、現実はそう甘くはなく、症例が増えるにつれ、手術を受けた患者の中で深刻な副作用に苦しむケースが徐々に増加していきます…



感情平板化〔感情が鈍くなり、反応が薄くなる状態〕、知能の低下、人格の変化など、手術前よりも状態が悪化し、最終的には社会生活ができなくなる患者も少なくありませんでした。


このような問題が明らかになるにつれ、ロボトミーは次第に批判を受けるようになり、1960年代にはほとんどの国で禁止されるに至りました。

ロボトミー手術の失敗率はかなり高かったとされています。世界的に行われていた手術の為、具体的な統計はないのですが、患者の約25%~30%が重度の副作用を経験しているのではないかと言われています。

最後に



ロボトミーの歴史は、医療の進歩と限界を象徴する一例です。


20世紀初頭、精神疾患の治療法が限られていたなか医師たちは新たな治療法を模索し、ロボトミー手術を導入。当時、多くの患者にこの手術が施されましたが、その一方で多くの人が深刻な副作用に苦しむ結果となりました。


現代の医学では、精神疾患の治療は薬物療法や心理療法が主流となり、ロボトミーは過去の誤りから学
ぶべき教訓とされ、医療の進歩に伴う慎重な姿勢を再認識させるものとなっています。



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