2月にあった出来事
世界貿易センタービル爆破事件
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1993年2月26日、ニューヨークの象徴の一つであった世界貿易センタービル(WTC)で、大規模な爆破事件が発生しました。
6人が死亡、1,000人以上が負傷したこの事件は、後に「9.11」へとつながるアメリカ本土の大規模テロの始まりとも言われています。
■ 1993年2月26日―突如響いた爆発音
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この日、世界貿易センターの北棟の地下駐車場に仕掛けられた爆弾が爆発。強力な爆風により、建物の一部が破壊され、地下駐車場には直径30メートル以上の巨大な穴が空き、瓦礫に埋もれました。
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エレベーターも停止してしまい、煙がビルの上層階まで充満するなど、ビル内はパニックに陥ったのです。
実行犯とその狙い
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〔ラムジ・ユセフ〕
事件の首謀者は、イスラム過激派グループに属するラムジ・ユセフという人物。テロ計画のために約600kgの爆薬をトラックに積み、駐車場に停めて爆破させました。
この人物の狙いは、アメリカに対する報復と、世界貿易センターを標的にすることでその象徴的な存在を崩壊させることだったと言われています。
そして、ビルの基礎部分を爆破することで、片方のタワーを倒壊させ、もう一方のタワーにぶつけ両方を崩壊させるというものでした。
実際には、幸いにも爆弾の設置場所が想定よりもずれていたため、計画どおりの倒壊には至らなかったのですが、それでも、この事件はアメリカ本土で発生した初の本格的なテロ事件として大きな衝撃を与えました。
その後、ユセフはこの爆破が不完全だったことに不満を持ち、「より大きな攻撃が必要だ」と考えていたことが分かっています。その思想は2001年9月11日の同時多発テロ事件(9.11)へとつながっていくことになるのです。
事件の影響とその後
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1993年のワールドトレードセンター爆破事件後、捜査機関は爆発に使用されたレンタカーの破片などの証拠を手がかりに捜査を進め、その結果、ラムジ・ユセフを含む数名の関与が明らかとなり、逮捕に至りました。
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裁判の結果、ユセフは終身刑を言い渡され、他の共犯者も厳重な処罰を受けます。
後にユセフが関わったテロ計画やその考え方が徐々に明らかとなり、テロ活動に深く関与していたことまでは分かってはきました。しかし、それでも9.11同時多発テロを防ぐことにはつながりませんでした。
アメリカ政府もこの事件を受けてテロ対策を強化していましたが、当時は「本土でのテロ攻撃」という概念がまだ十分に浸透しておらず、警戒が不十分だった面もあります。
そして、テロの実行犯が逮捕されたにも関わらず、8年後の2001年にはさらに大規模の9.11同時多発テロが発生することになるのです。
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「9.11」への布石となった1993年の爆破事件
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1993年の事件は、その一度きりの爆破ではなく、アメリカを標的とした国際テロの始まりでした。
この事件をきっかけに、アメリカを敵視したアルカイダをはじめとするテロ組織が、大規模な攻撃の計画を進めていたのです。
「アルカイダ」とは?
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アルカイダは、1980年代後半に結成されたイスラム過激派組織で、ジハード〔聖戦:神のための努力〕を目的としています。もともとは、アフガニスタンへのソ連侵攻に対抗するために設立され、ウサマ・ビン・ラディンが指導者となりました。
この組織は世界各地でテロ活動を展開し、最も悪名高い事件として、2001年に発生したアメリカ同時多発テロ(9.11)が挙げられます。
この出来事を振り返ると「もし1993年の段階で、より強固なテロ対策が取られていたら?」という問いが浮かびます。
歴史に「もし」はありませんが、あの時の対応が「9.11」の防止につながっていた可能性があることを考えると、あまりにも大きな教訓が残された事件と言えるでしょう。
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