硫酸の湖、謎の巨石神殿群
生物を溶かす死の湖『イジェン湖』
インドネシアのジャワ島にあるイジェン火山の頂上には、世界でも珍しい「死の湖」として知られるイジェン湖があります。この湖は、その美しい青色の水とは裏腹に、非常に危険な存在です。
イジェン湖は、標高約2,300メートルのイジェン火山の火口に位置する火山湖になるのですが、湖は直径約1キロメートル、深さは約200メートルで、その液体は硫酸(りゅうさん)〔強酸の一種〕を多く含むため、極めて酸性です。
この高い酸性度により、生物がこの湖に誤って入ってしまうと溶けてしまうため、「死の湖」と呼ばれています。
酸性の理由
イジェン湖の水が非常に酸性である理由は、火山活動に由来します。
火山の内部から放出される二酸化硫黄〔硫黄が燃焼するときに発生する刺激臭のある有害なガス〕や硫化水素〔腐った卵のような匂いを持つ有毒なガス〕などのガスが湖に溶け込み、硫酸を生成します。そのため、湖の水はpH値が0.5~1.5の間という、非常に強い酸性度を持っています。
pH値は0から14の範囲で表され、値が低いほど酸性が強くなります。
この環境下では、生物が生き延びることは不可能です。
恐怖と美しさの共存
イジェン湖はその危険性にもかかわらず、多くの観光客を引きつけています。湖の水は、硫酸の影響で鮮やかな青色をしており、その美しさは一見の価値があると訪れる人たちは言います。
しかし、湖の周辺では有毒なガスが発生しており、これを吸い込むと健康被害を引き起こす可能性もあるため、近づく際には十分な注意が必要です。
青い火の謎
イジェン湖周辺では、もう一つの自然現象である「青い火」が見られます。
これは、火山ガスの一部である硫化水素が燃焼することで発生する現象で、夜間には幻想的な青い炎が見られます。この青い火も、イジェン湖が観光名所となる理由の一つとなっています。
『マルタの巨石神殿群』古代の神秘と文明の証
マルタ島には、世界的に有名な巨石神殿群が存在します。これらの神殿は、その古代の起源と謎に包まれた文化的遺産として、多くの興味を持たれています。
マルタの巨石神殿群とは?
マルタの巨石神殿群は、紀元前3600年から2500年頃に建設されたとされる複数の巨大な石造建築物の集合体です。これらの神殿は、ユネスコの世界遺産に登録されており、古代の文明と技術の驚異を伝えています。
主な神殿と特徴
ジュガンティーヤ神殿
ゴゾ島にある紀元前3600年頃に建設された世界最古の巨石建造物の一つ。マルタ語で『巨人なもの』の意味があるこの建築物は、巨石を用いた精巧な建築技術が特徴です。礼拝堂として使ったと考えられています。
ハジャール・イム神殿
紀元前3600年から3200年頃に建てられたものと考えられ、精巧な石の配置や彫刻が特徴で、マルタの古代文明の宗教儀式に使われたと考えられています。
ハル・サファリエニの地下墳墓
この墳墓は紀元前4000年から2500年の間に造られたと推定されており、巨大な岩で構築された穴や通路から成り立っています。これらの墳墓は古代マルタ文明の宗教儀式や埋葬に関連していると考えられています。
「眠れる貴婦人」の像もこの場所で発見されました。
〔眠れる貴婦人〕
謎に包まれた技術と目的
巨大な石の組み合わせ
- 神殿は巨大な石を巧みに組み合わせて作られており、その大きさや重さから、当時の技術〔エジプトのピラミッドよりも1000年以上昔〕で、どのように建設されたのかが大きな謎となっています。
精密な配置
- 神殿内部や外部の石は精密に配置され、季節や天体の動きと関連付けられています。太陽や月の位置によって光が差し込むなど、天文学的な知識までもが反映されています。
石彫り
- 神殿内には石彫りやレリーフ〔彫刻や建築で浮き彫りにされた装飾〕が見られ、神話や信仰の象徴が描かれています。しかし、その意味や制作者については分かっていない部分が多いです。
現在、この神殿群は宗教的な儀式や祭祀の場として使用されていたと考えられています。しかし、古代の人々がどのような信仰や儀式を行っていたのか、その謎は今も解き明かされていません。