脳は痛みを感じないって本当?

私たちが「頭が痛い」と感じるとき、 「脳そのものも痛んでいるのではないか…?」 と思いがちです。
しかし、実は脳には痛みを感じる神経が存在しないのです。
脳には痛覚がない

人間の体には、ケガや熱さを感じ取る「痛覚受容器(痛みを伝えるセンサー)」があります。
ところが、脳の中にはその痛覚受容器が存在しません。
そのため脳外科手術では患者が「意識がある状態」で開頭されるケースもあります。脳を直接触られても痛みを感じないため、こうした手術が可能なのです。
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それでは、頭痛はどこから来るのか?

頭痛の原因となるのは、脳の外側にある血管や膜、神経です。
- 脳を覆う膜(硬膜・軟膜など)
- 脳の外側を走る血管
- 頭部や首まわりの筋肉・神経
これらの部分が刺激されることで「痛み」として脳に伝わり、私たちは頭痛を感じます。
頭痛が起こる仕組みの一例

1. 血管の拡張・収縮
血管が急に広がったり縮んだりすると、その周囲の神経が刺激されて痛みが発生します。
2. 筋肉の緊張
肩や首の筋肉がこると、血流が悪くなり、頭部に「締め付けられるような痛み」が起こります。
3. 脳を覆う膜の刺激
炎症や圧迫によって膜が刺激されると、鋭い痛みとして感じられます。

代表的な頭痛の種類

頭痛の種類 | 主な原因 | 特徴・症状 | 関わる部位(脳の外側) |
---|---|---|---|
緊張型頭痛 | 首や肩の筋肉のこわばり・ストレス | 頭全体が締めつけられるように痛む。夕方に悪化しやすい。 | 頭皮・首肩まわりの筋肉、神経 |
片頭痛 | 脳の血管の拡張・神経の過敏反応 | 片側のズキズキした痛み。光や音に敏感になり、吐き気を伴うことも。 | 脳を覆う血管・神経 |
群発頭痛 | 特定の周期で起こる血管の異常 | 片側の目の奥に激しい痛み。涙や鼻水を伴う。一定期間に集中して起こる。 | 目の奥の血管・神経周 |
このように、実際は 「脳の外側のトラブルを脳が痛みとして認識している」のです。
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まとめ

- 脳には痛みを感じる神経がない
- 頭痛の正体は、脳の外側の血管や膜、筋肉・神経が原因
- 「脳が痛い」と感じるのは錯覚に近い
日常でよくある頭痛も、こうしたメカニズムを知っておくだけで感じ方が変わるかも知れません。
「なぜ頭が痛いのか?」という疑問の答えは、脳そのものではなく「脳の外側」にあったのです。
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