『真実の口』はマンホール⁉

「嘘をつくと手が抜けなくなる」という伝説で知られる、ローマの有名な観光スポット――『真実の口』。
でも実はこの石の彫刻、“マンホールのフタだった” という説があるのを知っていますか?
今回は、このちょっと不思議でロマンのある話をご紹介します!
『真実の口』とは? まずは基本をおさらい!

- 場所:イタリア・ローマ
- 正式名称:La Bocca della Verità(真実の口)
- 素材:大理石
- 直径:約1.75メートル
- 設置場所:サンタ・マリア・イン・コスメディン教会の外壁

この彫刻は、人の顔の形をしていて、口の部分がぽっかり開いています。そこに手を入れて、「嘘をついていると抜けなくなる」という伝説が世界中に広まりました。
映画『ローマの休日』の有名なワンシーンで登場したことでも、一気に世界的な観光名所となったのです。
実は“マンホールのフタ”だった⁉ という説
実は、昔は神聖なものではなく、ただの “下水のフタ”のような用途だった…、という説があります。
その根拠がこちら。
古代ローマは下水道がかなり発達していた

〔クロアカ・マキシマの排水口の現状〕
古代ローマ時代は、公共水道や下水道のシステムが非常に先進的でした。
街中に流れる「クロアカ・マキシマ」と呼ばれる巨大下水道には、多くのマンホール的な石蓋が使われていたのです。
『真実の口』の素材・構造が下水施設に近い

〔ローマ帝国時代のローマ中心部の地図。クロアカ・マキシマは赤い線。〕
そして、『真実の口』は重厚な大理石製で、円形、そして中央に口のような穴が空いているという構造。
このデザインは、古代のマンホールのフタに見られるものと非常に似ており、「もともとは排水口のフタだったのでは?」という考察が生まれたわけです。
それでは、なぜ「真実の口」になった?

では、なぜ下水のフタが、「嘘をつくと手が抜けなくなる」というような伝説的な存在になったのでしょう?
実は、これには中世ヨーロッパの宗教観や迷信が関係しているといわれています。
- 中世では「神はすべてを見抜く」という考え方が強かった
- 嘘をついた者は神罰を受けるという迷信があった
- 人の“口”の形をした石に“裁き”の意味が込められた
このような文化的背景の中で、「真実の口=嘘を見抜く神の口」として祀られるようになったと考えられています。
歴史の “再利用” が生んだロマン
考えてみれば、「かつては排水口のフタ → 今では神秘的な観光スポット」という流れは、まさにローマの歴史ロマンそのものです。
古代のインフラが神話に昇華
これは都市伝説ではなく、他にも実際に古代の建材や構造物が中世・近代に転用された例は多数あります。
- ローマの石柱が教会の柱に
- 神殿の石材が噴水に再利用
- 下水施設のフタが「真実の口」へ…
そんな「物語の積み重ね」こそが、ローマの街を魅力的にしているのかもしれませんね。
まとめ|“マンホールのフタ” が伝説になる街、ローマ

- 『真実の口』にはマンホールのフタだった説がある
- 古代ローマの高度な下水システムと一致する点も多い
- 中世以降、迷信や信仰心によって神聖化された
真偽は今も専門家のあいだで議論されていますが、どちらにせよ『真実の口』が人々の想像と歴史をつなぐ存在であることは間違いありませんね!
