「真珠湾攻撃」
ハワイの真珠湾が突然の爆音に包まれる
〔1941年6月の真珠湾〕
1941年12月7日（日本時間8日）、ハワイの真珠湾が突如として爆音に包まれました。
この日は、日本海軍による予期せぬ奇襲攻撃が行われ、アメリカの太平洋艦隊に壊滅的な損害を与えました。この出来事こそが「真珠湾攻撃」として知られ、太平洋戦争の開戦を告げる瞬間となったのです。
しかし、この攻撃にはいくつかの誤算があり、最終的にはアメリカの戦意を一層燃え上がらせる結果となりました。
なぜ日本はこの攻撃を決断したのか？ そして、「宣戦布告なしの攻撃」と言われる理由は何なのか？
ここでは、真珠湾攻撃の背景や影響を詳しく解説していこうと思います。
なぜ日本は真珠湾を攻撃したのか？
〔大日本帝国海軍艦隊の航跡図〕
資源封鎖とアメリカとの対立
1940年代の日本は、中国との戦争（いわゆる日中戦争）を続けていました。
しかし、戦争には莫大な資源が必要です。特に、軍艦や戦闘機を動かすための石油が重要でした。ところが、日本が東南アジアへの進出を進めると、アメリカはこれを脅威とみなし、日本への石油輸出を禁止します。
これにより、日本はエネルギー供給の面で深刻な問題に直面しました。
追い詰められた日本政府は、アメリカとの交渉を試みるものの進展せず、ついに武力で事態を打開しようと決断します。
ただし、国力の差は歴然としていました。アメリカの軍事力は圧倒的で、日本が正面から戦っても勝てる見込みはありません。
そこで考えられたのが、アメリカの太平洋艦隊を壊滅させ、短期決戦で有利な講和に持ち込む作戦でした。その標的が、ハワイの真珠湾にあったアメリカ海軍の基地だったのです。
真珠湾攻撃の詳細
〔真珠湾攻撃開始直後〕
開戦の火蓋が切られる
日本時間1941年12月8日未明、約350機の日本軍機が空母から発進し、ハワイの真珠湾に対して奇襲攻撃を仕掛けました。この攻撃の指揮は、日本海軍の山本五十六司令長官の指導のもと、南雲忠一中将が率いる機動部隊によって行われました。
〔山本五十六司令長官〕
第一波攻撃隊は戦艦や飛行場を狙い、続く第二波攻撃隊がさらに追い打ちをかけました。
この攻撃によって、アメリカ太平洋艦隊は大打撃を受けます。戦艦アリゾナは大爆発を起こして沈没し、多くの兵士が命を落としました。その他の戦艦オクラホマ、ウェストバージニアなども大破し、アメリカ海軍は一時的に戦闘能力を失います。
〔大爆発を起こした「アリゾナ」。同艦は真珠湾の艦艇群の中でも、もっとも被害が大きかった〕
しかし…空母は無傷だった
日本側にとって、真珠湾攻撃の最大の目的は「アメリカの空母戦力を壊滅させること」でした。
しかし、攻撃当日、アメリカの空母は真珠湾にいなかったのです。これは日本にとって大きな誤算でした。結果的に、後の戦局に大きな影響を及ぼすことになるのです。
「宣戦布告なしの攻撃」は本当か？
本来、日本はアメリカに正式な宣戦布告を行った上で戦闘を開始する予定でした。
しかし、ワシントンの日本大使館での暗号解読・通達作業の遅れにより、アメリカ側に宣戦布告が届いたのは攻撃開始の約1時間後。このため、「日本は宣戦布告なしに攻撃した」「卑怯なだまし討ちだ」とアメリカ国内で激しい怒りを買いました。
実際、アメリカ国内ではこの攻撃を「リメンバー・パールハーバー（真珠湾を忘れるな）」というスローガンとともに、日本への戦意を高める材料としました。
真珠湾攻撃の影響と太平洋戦争の本格化
〔急降下爆撃を受けて炎上する空母飛龍〕
この攻撃を受けて、アメリカは即座に日本に対して宣戦を布告。1941年12月8日（現地時間12月7日）、アメリカは正式に第二次世界大戦に参戦し、日米の戦争は決定的となりました。
日本側は「一撃でアメリカの戦意を喪失させ、講和に持ち込む」つもりでしたが、実際にはその逆でした。
怒りに燃えたアメリカは本格的な反撃を開始し、後にミッドウェー海戦やガダルカナルの戦いを経て、日本は次第に劣勢へと追い込まれていきます。
最後に：真珠湾攻撃は何をもたらしたのか…
〔原子爆弾の投下によって発生したキノコ雲。左：広島、右：長崎〕
真珠湾攻撃は、戦争の流れを劇的に変えた歴史的な出来事でした。
短期的には日本が優位に立ったものの、長期的にはアメリカの参戦を招き、日本にとって破滅への道を開くきっかけとなったのです。
この攻撃から4年後の1945年、日本は広島・長崎への原爆投下とソ連の参戦を経て、ついに無条件降伏。真珠湾で始まった戦いは、日本にとって厳しい結末を迎えることになります。
歴史の中で何が起こり、なぜそれらが起こったのかを知ることは未来の選択を考える上でも重要ですが… あなたは、この真珠湾攻撃についてどう感じましたか？
