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【『生物』の雑学⑤】ナマコの面白い生態 海のユニークな生き物

【『生物』の雑学】

ナマコの内臓攻撃・肛門呼吸

ナマコって何?



ナマコは海底を這い回る少し奇妙な生き物で、一見すると動きが遅くて退屈に見えるかもしれません。しかし、実はとてもユニークでおもいろい特徴を持っています。


棘皮動物(きょくひどうぶつ)の一種で、ヒトデやウニの仲間となり、ナマコは世界中に約1,700種以上が存在します。


棘皮動物(きょくひどうぶつ)とは?


棘皮動物は、海に生息する無脊椎動物(むせきついどうぶつ)〔脊椎(背骨)を持たない動物〕の一群です。

≪ 主な特徴 ≫

  1. 五放射相称
    • 体が五つに分かれていることが多く、中心から放射状に対称的な形をしています。ナマコも縦から見ると(輪切りにすると)5つに分かれています。
  2. 水管系
    • 「水管系(すいかんけい)」と呼ばれる特殊な構造を持ち、水を使って移動や呼吸、餌の捕獲を行います。
  3. 高い再生能力
    • 高い再生能力を持ち、失った体の一部を再生することができます。ヒトデは腕をどこから切っても再生することで有名です。
  4. 外骨格
    • 体表には棘(とげ)や硬い殻があり、外敵から身を守ります。


ナマコの面白い生態


自己防衛で内臓を吐き出す



ナマコが敵に襲われたとき、驚くべき防衛方法を持っています。それは、内臓を吐き出すことです。


ナマコは自分の内臓〔キュビエ器官という白い糸状の粘着物〕を敵に向かって放出し、敵がこの白い粘着物に絡まっているあいだや、この器官を食べている間に逃げ出します。


このキュビエ器官は、時間が経つと再生するため、ナマコにとって大きな問題はありません。


こんな驚異的な再生能力を持つ生物はなかなかいません。


ナマコの肛門呼吸


ナマコは肛門呼吸という独特な呼吸方法を持っています。


肛門から水を吸い込み、それを「呼吸樹(こきゅうじゅ)」と呼ばれる内部の枝状構造に送り込んで酸素を取り入れます。


実は、この水は呼吸のためだけでなく、排泄物を外に出すためにも使われているそうです。



海の掃除屋



ナマコは「海の掃除屋」としても知られています。



海底の砂や泥を口の周りにある触手を使って食べ、その中の有機物を消化して栄養を得ます。

〔a 触手、b 肛門〕


消化された後のきれいな砂は再び体外に排出されるため、それにより海底の環境を清潔に保つ役割を果たしています。




ナマコのユニークな繁殖

〔放精中のナマコ〕


ナマコの繁殖も実にユニークです。


多くの種類のナマコにはオスとメスが存在するのですが、精子と卵子を水中に放出して、外部で受精〔体外受精〕が行われます。


受精卵はプランクトンのように漂い、しばらくしてから海底に着地し、その後、幼体として生まれます。


その他、一部のナマコには『分裂』するものもいます。


ナマコが自らの体を二つに分割し、それぞれが新しい個体として成長します。



この能力は特に深海や厳しい環境で生息するナマコに見られることが多く、自家受精や外部受精に頼らない独特な繁殖戦略として進化したとされています。


ナマコは高級食材でもある



ナマコはその生態だけでなく、私たち人間にも様々な形で利用されています…

日本や中国を始めとするアジア諸国では、ナマコは高級食材として珍重されています。特に乾燥させた「干しナマコ」は高額で取引されます。

その他にも、ナマコにはコラーゲンが豊富に含まれており、伝統的な医薬品や美容製品としても利用されています。


まとめ

〔ナマコ漁の風景〕


ナマコは、一見地味な生き物に見えるかもしれませんが、驚くべき特技や生態を持っています。


内臓を投げ出したり、肛門で呼吸したり、それだけではなく海底の砂をきれいにするなどナマコは海洋生態系においても重要な役割をしています。

海に行ったときには、ぜひナマコにも注目してみてください。ナマコの生態を知ることで、海の世界がさらに面白く感じられるかもしれません。