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【嘘みたいな本当の話の『雑学』⑥】『動物裁判』中世ヨーロッパの奇妙な法廷

【 嘘みたいな本当の話 】

動物裁判:豚、ネズミ、昆虫までも…



動物裁判という言葉を聞くと、多くの人が驚くかもしれませんが、実際に中世ヨーロッパで行われていた本当にあった裁判のことです。


この裁判では、動物が人間と同じように法廷で裁かれていました。


今回は、「動物裁判」の歴史とその背景を掘り下げていこうと思います。


なぜ動物裁判が行われたのか?


動物裁判の起源は、中世ヨーロッパにさかのぼるのですが、当時の宗教的・社会的な背景があります。


特に14世紀から18世紀にかけて、フランス、スイス、スペインなどでよく見られました。



当時の人々は、動物も神の意志を反映していると考えていたため、動物が悪い行いをするのは、神がその動物を使って何かを警告していると信じていました。


そのため、動物を裁くことで、神の意志に従うことができると考えられていたのです。

また、動物裁判は、社会的な秩序や法律の重要性を示すための手段でもありました。動物が法的に処罰されることで、社会の中での規律が保たれていたのです。


どんな動物が裁判にかけられたの?

〔豚の処刑の画像


動物裁判では、さまざまな動物が被告として呼び出されました。


豚、牛、犬、ネズミ、さらには昆虫まで…

これらの動物が裁判にかけられる理由は、家畜が作物を荒らしたり、人間に危害を加えたりするなど、多岐にわたります。

例えば、豚が人を襲った場合、裁判所でその罪を問われ、公開処刑されることもありました。


裁判の流れ


動物裁判の手続きは、人間の裁判に似ていたと言われます。

まず、動物には告訴状〔動物を法的に裁くために提出された訴えの書類〕が出され、それによって動物が法的に責任を問われることになります。

次に、動物に弁護士がつき、代理人が法廷で動物を弁護しました。

裁判が行われ、作物を荒らしたなどで動物に対して刑罰が科された場合、その賠償として飼い主や代表者が新しい作物を提供するよう命じられることもありました。

また、事例によっては動物に対して公開処刑や追放などの刑罰が科されます。


動物裁判の終焉


動物裁判は、18世紀の啓蒙時代(けいもうじだい)に入ると次第に廃れていきました。


この時期、科学と理性の重要性が強調され、動物に対するこのような裁判が非現実的であると見なされるようになったためです。

啓蒙時代(けいもうじだい)とは?


啓蒙時代とは、理性、科学、そして個人の自由を重視する思想運動が広がった時代です。

知識の普及と社会改革を目指し、宗教的・迷信的な考え方に対抗し、教育や政治制度の改善が進められました。

この時代の影響で、非合理的な慣習や迷信、そして動物裁判のような古い習慣が廃れていきました。

現代では動物裁判はあるの?


近代の法律体系では、動物そのものが法的に裁かれて刑罰を受けることはなく、動物に対する法律的な問題は通常、動物の飼い主や管理者が責任を負う形で取り扱われます。

動物に対する犯罪や不正行為があれば、動物保護法や動物愛護法(動物の愛護及び管理に関する法律)などが適用され、動物を守るための対策が取られます。


結果として、動物での問題が発生した場合は、その飼い主や関係者が法的責任を問われるのが一般的となっています。


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