年賀状の起源と歴史

年末が近づくと話題になる「年賀状」や「年賀状じまい」。
でも、ふと疑問に思いませんか…?
- 年賀状はいつから始まったの?
- 昔の年賀はがきはいくらだったの?
今回は、そんな素朴な疑問に答えながら、年賀状の起源・歴史・値段の変化を分かりやすく解説していこうと思います!
年賀状のはじまりはいつ?ルーツは意外と古かった…

実は年賀状のルーツは、郵便制度よりもずっとずっと前にあります。
日本では昔から、新年に直接あいさつへ行く「年始回り」の習慣がありました。
しかし、遠方に住んでいて行けない相手には、手紙で新年のあいさつを送るようになります。
この習慣が広がったのが平安時代。
ここが、年賀状文化の原点だと考えられています。
👉 つまり、
「年賀 = 手紙での新年のあいさつ」
これが年賀状の原型です。
年賀状が広まった決定的な理由:郵便制度の誕生

〔明治時代に建てられた駅逓寮庁舎〕
明治時代、郵便制度がスタート
1871年(明治4年)、日本で近代郵便制度が始まりました。
これにより、全国どこへでも同じ仕組み・同じ料金で手紙を送れるようになります。
この制度を整えたのが、当時の政府機関である「駅逓司(えきていし)」です。
駅逓司とは、郵便・運送・通信を一括して管理する役所で、今でいう「総務省」や「日本郵便」の前身にあたります。
それまでの日本では、飛脚〔昔の手紙や荷物を運んでいた人〕や、藩〔大名が治めていた地域で、現在の都道府県の前身にあたる行政区分〕ごとの仕組みに頼っており、地域によって料金や配達方法がバラバラでした。
駅逓司の設立によって、初めて全国共通の郵便ルールが整えられたのです。
1873年、日本初の官製はがきが誕生
郵便制度が整った2年後の1873年(明治6年)、日本で初めて官製はがきが発行されます。
切手を貼る必要がなく、誰でも気軽に使える「完成されたはがき」の登場は画期的でした。
この官製はがきの普及によって、新年のあいさつをはがきで送る習慣が一気に広まり、年賀状は特別な人だけのものから、庶民の日常文化へと変わっていきます。
明治時代の官製はがきははいくらだった?
当時の官製はがきの料金は、次の通りです。
- 市内あて:5厘
- 市外あて:1銭
今の感覚でいうとかなり安い価格でした。
※現代の金額に単純換算はできませんが、体感的には「数円〜十数円以下」レベルです。
そのため、「年始のあいさつをはがきで送る」習慣が一気に広がったのです。
「元日に届く」年賀状はいつから?

〔はがき前面、長崎県庁、明治時代〕

1899年(明治32年)、年賀郵便特別扱いがスタートします。
これは、
年末までに出した年賀状を、元日にまとめて配達する制度。
この仕組みができたことで、「元日に年賀状が届く」という今のスタイルが完成しました。
1949年(昭和24年)お年玉付き年賀はがきの誕生

今の年賀状文化を決定づけたのが、1949年(昭和24年)に始まった「お年玉付き年賀はがき」です。
- はがきに番号が印刷されている
- 抽選で景品が当たる
この仕組みは戦後の日本で大きな話題となり、年賀状が一気に国民的行事になりました。
一般のはがきと同程度で、庶民でも無理なく出せる価格だったそうです。
年賀状の値段はどう変わっていった?

〔琉球郵政庁(沖縄が米国統治下にあった時代に、郵便・電話などの通信を管理していた機関)が発行した1957年2ドル年賀はがき〕
年賀状の値段は、郵便制度や物価の変化とともに少しずつ変わってきました。
全体像を時代順に見ていきましょう!
年賀状(はがき)料金の変遷一覧表
| 時代 | 年 | 年賀状・はがきの種類 | 料金の目安 | 補足説明 |
|---|---|---|---|---|
| 江戸〜平安 | 〜1860年代 | 手紙による年始挨拶 | ― | 郵便制度なし。直接訪問や書簡が中心 |
| 明治初期 | 1873年 | 日本初の官製はがき | 市内:5厘 市外:1銭 | 年賀状の原型が広まる |
| 明治後期 | 1899年 | 年賀郵便特別扱い開始 | 約1銭 | 元日に届く仕組みが誕生 |
| 大正時代 | 1910〜1920年代 | 官製はがき | 約1〜2銭 | 年賀状が庶民文化として定着 |
| 昭和初期 | 1930年代 | 官製はがき | 2銭前後 | 印刷年賀状も普及 |
| 戦後直後 | 1949年 | お年玉付き年賀はがき | 約2円前後 | 国民的行事として定着 |
| 高度成長期 | 1960〜70年代 | 年賀はがき | 7〜20円 | 出す枚数が急増 |
| 平成初期 | 1990年代 | 年賀はがき | 41円 | 写真・デザイン年賀状が一般化 |
| 令和 | 2020年代 | 年賀はがき | 85円前後 | 郵便料金改定を反映 |
※金額は当時の郵便料金をもとにした目安です。
まとめ|年賀状の歴史を知ると、もっと身近になる!

- 年賀状の起源は平安時代の新年あいさつ。
- 明治時代に郵便制度が整い、一般に普及。
- 官製はがきは当初「1銭前後」と非常に安価。
- 1949年のお年玉付き年賀はがきで全国に定着。
- 現代でも「気持ちを伝える文化」として続いている。
年賀状の歴史を知ると、一枚のはがきに込められてきた日本人の心遣いが、より身近に感じられます。
はがきでも電子メッセージでもかまいません。
誰かの顔を思い浮かべながら、ひとこと新年のあいさつを送ってみるのも、きっと素敵な時間になるはずです。
※そのまま投函はできないようですが… 食べる年賀状のようです。↓ 面白いですね!



























