『アニサキス』

アニサキスは魚介類に潜む寄生虫で、私たち人間にとっても身近な存在です。
それでは、この危険なアニサキスの生態や感染のリスク、予防方法について見ていきましょう!
アニサキスとは?

アニサキス(Anisakis)は、魚やイカなどの海産物に寄生する線虫〔土壌、淡水、海洋などに存在する糸状の生物〕の一種です。
【成虫】は、海洋哺乳類〔例えば、イルカやクジラなど〕の胃に寄生していますが、その【幼虫】は魚〔さば、サーモン、ニシンなど〕やイカなど魚介類の体内に見られることが多いです。
そして、私たちが生の魚介類を食べることで、アニサキスが体内に侵入し、さまざまな症状を引き起こすことがあります。
アニサキスのライフサイクル(生活環)

- 海洋哺乳類や魚の胃で卵を産む
成虫は、魚や海洋哺乳類の胃で卵を産みます。これらの卵は魚の排泄物と共に水中に放出されます。 - 幼虫の孵化と移動
卵から孵化した幼虫は海水中に散らばり、小型の甲殻類(オキアミなど)に取り込まれます。 - 魚やイカへの移動
小型の甲殻類を捕食した魚類やイカ、海洋哺乳類の体内にアニサキスの幼虫が移動し、そこで成長し成虫となります。 - 人間への感染
人間が釣った生の魚介類(刺身など)を食べることで、そこに寄生していたアニサキスの幼虫が体内に侵入します。
アニサキス症の症状

アニサキスは人間の消化器官に侵入すると、さまざまな健康問題を引き起こします。これを「アニサキス症」と呼びます。
急性胃腸症状(急性胃アニサキス症・腸アニサキス症)
- 感染後数時間〜48時間以内に発症することが多いです。
- 強い上腹部痛、吐き気・嘔吐、下腹部痛などが特徴。
- アニサキスが胃や腸の壁に侵入し、炎症を起こすことが原因です。
アレルギー反応(アニサキスアレルギー)
- アニサキスそのものが腸壁に侵入しなくても、死骸やタンパク質に対する免疫反応で発症します。
- 蕁麻疹(じんましん)やアナフィラキシー様症状、喘息のような呼吸器症状が出る場合があります。
- 食べた直後に症状が現れることもあります。
腸閉塞(腸アニサキス症)
特に小腸に侵入した場合に発生することがあります。
まれなケースですが、腸に侵入したアニサキスが炎症を起こし、腸閉塞や腸穿孔の原因になることがあります。
アニサキス症の予防と対策

アニサキス症を予防するためには、以下の点に注意することが必要です。
- 加熱処理:
アニサキスは加熱に弱いため、60℃~70℃以上で数1分間加熱することで死滅します。 - 冷凍処理:
アニサキスは-20℃以下で24時間以上冷凍することで死滅します。冷凍処理された魚介類を使用することで安全性が高まります。 - 目視検査:
生の魚介類を調理する際には、目視でアニサキスの幼虫を確認し、取り除くことが大切です。アニサキスは白くて細長い糸状の形をしています。 - 信頼できる店から購入:
アニサキスの感染リスクを減らすためには、信頼できるお店から魚介類を購入することも必要です。
アニサキス症、最初の報告は1960年代のオランダ
アニサキス症が最初に報告されたのは1960年代のオランダ〔日本国内では1965年〕でした。
以来、世界中で報告が増え、特に魚介類を生で食べる文化のある地域で注目されてきました。
現在では、内視鏡を用いた迅速な診断と治療が可能となり、アニサキスが胃腸内に寄生している場合、直接取り除くことができるようになってきているそうです。

しかし、出来ることならば未然に感染を防ぎたいものですね…
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