史上最大 株価下落率、経済史上最も有名なバブル
ブラックマンデー
ブラックマンデーは、1987年10月19日にアメリカで起こった株式市場の大暴落を指していいます。
この日、アメリカの主要な株価指数であるダウ・ジョーンズ工業株価平均(NYダウ)が、1日で22.6%も下落しました。
これは、1日での史上最大株価下落率であり、世界中の株式市場に大きな衝撃を与えました。
ブラックマンデーの原因
双子の赤字
ブラックマンデーの原因は複数あるといわれますが、『双子の赤字』と呼ばれたアメリカ経済における【財政赤字】と【貿易赤字】が大きな要因の一つとされています。
【財政赤字】
(ロナルド・レーガン)
財政赤字とは、歳入(収入)よりも支出(出費)が多い状態を指して言います。1980年代初頭にレーガン政権が減税や国防費増加(軍事費)などの政策〔レーガノミクス〕を実施したことにより、財政赤字が拡大したのですが、それにより国債発行(借金)が増加しました。
【貿易赤字】
貿易赤字とは、輸入が輸出を上回る状態を指します。1980年代にアメリカの輸入が急速に増加し、それにより貿易赤字が拡大しました。外国からの安価な製品がアメリカ市場に流入し国際競争力を失い、輸入品に対する依存度が高まりました。
その他、為替(かわせ)〔通貨の価値を表す市場〕の影響も大きな要因とされています。
【プラザ合意】
プラザ合意は1985年に行われたのですが、主にアメリカと日本によって主導されました。
目的はドル高を緩和し円高を促進する〔ドルの急激な上昇を抑える〕ことにより、アメリカの貿易赤字を減少させることでした。
しかし、貿易赤字の減少効果は限定的で、ドル安が加速することによってインフレ懸念〔物価上昇の不安〕が高まります。
【ルーブル合意】
その後、1987年のルーブル合意によりドル安〔ドルの急落〕を防ぐために主要国が協力することになります。しかし各国での調整がうまくいかないまま、そのわずか1か月後にブラックマンデーの株価暴落は発生します。
自動売買システムと通信障害
そして、更に追い打ちを掛けたのが、自動売買システムと通信障害です。
投資家の間で買いや売りの自動売買プログラムが急増したことで市場の急落を加速させる要因となったのと、当時の売買システムが脆弱だっため、一時通信障害を起こしてしまいます。
売買ができないことによる心理的不安から更なる売りが加速したとも言われています。
このブラックマンデーは、金融市場の信頼性と安定性についての議論を引き起こした出来事であり、金融取引の規制改革を促すきっかけとなりました。
南海泡沫事件(なんかいほうまつじけん)
南海泡沫事件(South Sea Bubble)は、1720年にイギリスで発生した金融バブルのことを指して言います。
この事件は、南海会社という、もともと奴隷貿易や植民地の商業活動を行っていた商業企業が、政府との国債(借金)の処理のための取引が提案されたことで始まります。
南海会社の本業は不振だったのですが、社運を賭けた『富くじ(宝くじ)』が爆発的に売れ、その売り上げを財政が悪化していたイギリス国債(借金)処理に充て、引き受けたことで、南海会社の株式が急激に上昇し、投資家たちの間で株式への投機〔利益を得るためにリスクを取る取引〕が高まりました。
多くの人々が南海会社の株式に投資し株価は異常なまでの高値に達し、投機熱はピークに達し株式市場は熱狂状態となりました。
しかし、株価は実際の企業価値と大きく乖離しており、バブルは短期間で崩壊します。
そしてバブルが崩壊すると、多くの投資家が破産し経済に混乱が生じました。
この事件は、金融システムと政府の信頼性に対する深刻な影響をもたらし、金融制度の改革を促すことになり、南海泡沫事件は、経済史上で最も有名な金融バブルの一つとして記録されています。